紀伊國屋ホール 舞台は終戦後の東京。 進駐軍が幅を利かせ、街は闇市・パンパンなどで溢れており混沌としていた。 そこに流れるのはラジオ放送。 軽快なジャズのメロディーと共に聞こえてくるのは、「ハローハローこちらは東京、そちらはどちら?」と語りかける霧島京子のセクシーボイス。 その放送を楽しみに聴いていた若者たちはある日、女子プロ野球チーム結成のニュースを知る。 それに便乗したのが、復員兵の黒田、自称・海軍大将の息子で現在はサンドイッチマンをやっている国木田、そして阿漕な方法で商売を成功させた元海軍大尉の中西。 そして、野球チームの要である監督に迎えられたのは、元法政大学野球部のエースで特攻隊上がりの本多だった。 チームの入団テストには500人以上の応募が殺到したが、その中から選抜されたのは、戦争未亡人の羽柴菊江、花嫁修業中の大河内麗子、評判の美少女の津島恵美子、ジャズとダンスが好きな跳ね返りの黒柳リル、「らく町のあけみ姐さん」こと中村明美、病弱な父と弟を支える為に入団を希望してきた千田由美子、短距離のスプリンターだった柳川恵子ら9人の美女。 本多監督率いるチームの球団名は【東京ナインガールズ】と決定し、地方遠征が始まる。 その頃、下山事件・三鷹事件・松川事件など国鉄絡みの事件が続発し、社会は益々混迷を極めていた。 遠征後のナインガールズ内でも、本多と霧島との交際が噂され、賃金支払いの団体交渉が行われるなど チーム内、労使間でも問題が多発。 チーム存続なるか?といったところで、世界では朝鮮戦争が勃発。 レッドパージ、警察予備隊の発足、朝鮮特需。 日本は復興の兆しを見せ始めるが、女子プロ野球チームは採算が合わず、その短い歴史に幕を下ろすこととなる。 【東京ナインガールズ】も最後の試合を迎えていた。 しかし、チームの財政難から野球賭博の胴元をやっていた黒田らが逮捕され、中西は脱税容疑で査察を受ける。 しかも、チームの要である監督の本多は博打の借金絡みで失踪。 そんな監督不在という逆境にも負けず、ホームランに次ぐホームラン、ヒット連発で解散試合は圧勝し、彼女たちの短くとも輝かしい栄光は幕を閉じた。 久々の観劇で、しかも、初の生ワイルドメンバーである小池氏の舞台ということで、子供のように2、3日前からワクワクしておりました。 開演を知らせるチャイムが鳴り、緞帳が開いた瞬間から50年前の日本にタイムスリップ。 往年のジャズ・スタンダードが流れ、当時の風俗、、流行、事件が織り交ぜられたストーリに笑い、感嘆し、目が潤みました。 メインが9人の美女軍団なので小池氏の登場回数は少なかったものの、小池氏が舞台に立つとキュッと場が引き締まるのが分かりました。 ラジオのDJの霧島京子に仄かな恋心を抱いたカワイイ悪役の小池氏がこれまた可愛くて、両国くん、吉松(西部警察の時の役名)とは異なる雰囲気がとっても良かったです。 初日だったので役者さんたちの緊張が観ているこちらにもビシビシと伝わり、時にはハラハラもさせられましたが、映像と異なり生の緊張感がダイレクトに伝わってくるところがライブの面白さであり、心地よさだと改めて思いました。 私が予想していた小池氏像は寡黙でボソボソ喋る方というものだったのですが、まったく違っていて…。(笑) 本当はとてもフランクで、面白い方でいらっしゃいました。 役者魂のある俳優さんだなぁと言うのが、お会いしての実直な感想です。 ご自分の役者としてのスタンスや、今昔の映像・舞台について、また演技論を熱く語っていらしたときの目がとても印象的でした。 |