「繊細なスネ者」、それが矢野です。床にうずくまってオカリナを吹く姿は、大人になりきれていない青年の心の孤独を上手く現していて心に残るシークエンスでした。虚勢を張ってワル振っていた矢野が次第に、中野（故 松田優作氏）五十嵐（中村雅俊氏）に心を開き、彼等の間に淡い友情が芽生えていく過程がその後に訪れる絶望的な悲劇へのプレリュードとして丁寧に描かれています。瀕死の状態で真実を語るシーンでの「なんかよぉ、胸が切ねぇなぁ…」が涙を誘い、矢野が絶命後の中野の持って行き場のない怒りにも共感が持てます。この作品に深みを与えたのは、純粋が故に道を外した青年をナイーブな演技で見事に演じ切った小野氏の奥行きの深さだったと思います。 矢野を狙うヒットマン役で『赤い星を狙え』の社長役だった二見忠男氏（温水洋一似）が出演されています。
純愛を貫こうとして犯罪に手を染めた、ある意味不幸な青年役。普通の青年が運命に翻弄され、転落していった様を熱演。出演シーンが少ないながらも存在感がありました。 （着ていたハーフコートがワイルドのときに着用していたものと同じだったので、役柄を度外視すると飛葉ちゃんに見える…） |